舞浜海洋国家

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マゼランズのプロップスを紐解く①

みなさんこんにちは!ブログを更新したいと思っても中々手が回らないものですね。これからも手が空いた時にやってくぐらいの感じで書いていこうかなと思っています。

さて、前回の記事に引き続き今回もマゼランズについての記事を書いていきます。前回の記事をまだ読んでないという方は下のリンクからお願いします!

tsubasan0924.hatenablog.com

マゼランズはレストランでありながら、様々な絵画やタペストリーに楽器や器具などが飾られており、半ば博物館のような場所でもあります。(この理由にももちろんストーリーがあるのですがそれはまた後ほどご紹介するかもしれません。)これらのようなパーク内にある装飾物や置物などは総称してプロップスと呼ばれています。これらマゼランズにある様々なプロップスについて調べていこうということをこれから何記事かに分けて書いていこうと思っています。

 

マゼランとは?

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写真は「エクスプローラーズ・ホール」にあるもの

まずはこのレストラン「マゼランズ」の名前の元となっているフェルディナンド・マゼラン(1480頃〜1521)について軽く紹介しようと思います。

ポルトガル出身の航海者であるマゼランは1519年、スペイン王カルロス1世(詳しくは後述)の後ろ盾を得て西まわりでのモルッカ諸島到達を目指して航海を始めます。1521年フィリピン諸島セブ島へと到達を果たしますが、現地での抗争にてマクタン島首長であるラプラプに殺害されてしまいます。そして1522年に生き残った彼の部下である18人がスペインへと辿り着き、世界で初めて世界周航を成し遂げたことになりました。その彼の功績を讃えて、このレストランには彼の名前がつけられたというわけですね。

 

人物の肖像画

マゼランズには何人かの人物の肖像画が飾られています。まずはそれらについて見ていきましょう。なおそれぞれの肖像画には元となった元ネタがあり、その詳細が書かれたサイトを説明とともに添付しておきます。

 エンリケ航海王子(1394〜1460)

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ポルトガルジョアン一世の王子であるエンリケは、大航海時代が始まるにあたって、いなくてはならない存在として知られています。彼は1415年アフリカ西北端のセウタ攻略に成功し、大西洋および西アフリカの探検事業を推進、他にも航海学校や天文台の設置にも尽力しました。一方で、船酔いしてしまうことから彼自身は航海には出なかったという逸話もありますね。

commons.wikimedia.org

クリストファー=コロンブス(1451〜1506)

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歴史の教科書を読むと必ず載っていると言っても過言ではない肖像画ですね。彼についてはもはや説明はいらないと思いますが、コロンブスはヨーロッパ人で初めてアメリカ大陸を発見したとされる人物です。スペイン女王の後ろ盾を得て航海した彼は1492年に新大陸を発見し、のちに彼がサン・サルバドル島と名付ける島へと上陸を果たします。しかしコロンブスはその後死ぬまで自身が発見した土地をインドだと主張していたことは有名な話ですよね。 

commons.wikimedia.org

ヴァスコ=ダ=ガマ(1469頃〜1524)

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引き続きこちらも有名な人物ですね!ガマはポルトガル国王マヌエル一世の元で、1498年インドのカリカットへと到達し、インド航路開拓に成功しました。その後はインド総督に任ぜられるほど活躍したことも有名です。

commons.m.wikimedia.org

 エルナン=コルテス(1485〜1547)

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コンキスタドールと呼ばれたスペイン人の征服者で、アステカ王国を滅ぼしたことで知られています。1521年にアステカの首都であるテノチティトランを占領し、1523年にはメキシコ総督となった人物です。

 なぜかこの絵画のみ明確な元ネタがわからなかったので、そうっぽいリンクを貼っておきます。

texasexplorersinformation.weebly.com

フランシス=ドレーク(1540頃〜1596)

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地球儀と共に描かれているのが印象的な彼は、スペイン人植民地打倒を目指してアメリカ大陸へと向かい結果的に世界周航を成し遂げたイギリスの船乗りです。世界周航というと、前述の通りこのレストランの名前にもなっているマゼランが有名ですが、ドレークは彼に続いて世界で二番目に世界周航を成し遂げたとされています。また、1588年には副提督としてスペインの無敵艦隊を破ったりと、何かとスペインと因縁のある人物ですね。

www.wikigallery.org


カルロス1世(カール5世)(1500〜1558)

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以前の記事でもちらっと登場しました。名門ハプスブルク家出身のスペイン王にして、神聖ローマ皇帝としても君臨し、オーストリア、スペインを始めとしたヨーロッパの広大な土地支配し、息子フェリペ2世と並んでスペインの最盛期を築いた人物です。

www.art.com

余談ですが、彼の肖像だけ他の人物と比べて明らかに若いですよね。先ほどこのレストランの名前の元となっているマゼランがこのカルロス1世の後ろ盾を得て航海ということをお話ししました。実はマゼランがカルロス1世に謁見したとき、カルロスはまだ王となったばかりだったのです。そのころの若い彼の様子を示すためにこの肖像画が飾られているのでしょうね。

フェリペ2世(1527〜1598)

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カルロス1世の息子で、彼を継いでスペイン王となった人物です。彼はレパントの海戦オスマン帝国を破り、さらにポルトガルまでも併合してしまいます。スペインが「太陽の沈まぬ国」と呼ばれたのは彼の治世の頃ですね。またフェリペ2世の名が現在のフィリピンの名前の元になっていることでも有名ですね。

commons.wikimedia.org

ニコラス・クラッツァー(1487頃〜1550)

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ドイツの天文学者、数学者として知られた人物で生涯の多くをイギリスで過ごし、時のイングランドヘンリー8世天文学者に任命されています。日本ではあまり知られていない人物ですね。彼とともに様々な天文学における道具が描かれているのが特徴的な肖像画です。

commons.wikimedia.org

 ゲオルグ・ギーゼ(1497〜1562)

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こちらも日本ではほとんど名前を聞かない人物ですが、彼はドイツ商人の利益を目的としたハンザ同盟の中でも著名な人物として知られています。

ちなみにこの時代のこうした肖像画はその人物の商人としてのステータスを示すために描かれたと言われています。特にこの絵はそれが顕著に表れており、カーネーションや手紙、切手、蝋燭の破片などが象徴的に描かれているのが特徴です。

commons.wikimedia.org

ソル・フアナ=イネス・デ・ラ・クルス(1651~1695)

最後に見ていくのは、マゼランズ2階にその肖像画が飾られているこの女性。彼女だけ他の人物と比較して時代が少し後になります。

メキシコがスペイン帝国の一部だった時代に生まれ、修道女でありながら詩人、劇作家として活躍した人物だそう。日本ではあまり馴染みがありませんが、スペイン文学、メキシコ文学で最も重要な女性作家の一人としてみなされ、メキシコでは紙幣に描かれるほど有名な人物のようです。

commons.wikimedia.org

 

 一概にマゼランズといっても様々な人物の肖像画が見られるということがお分かりいただけたでしょうか。ちなみに肝心のフェルディナンド・マゼラン肖像画についてですが、こちらはレストランに入ってすぐ横に飾られています。残念ながらそちらの写真は撮り損ねてしまったので、今後行く機会があったら改めて撮ってこようと思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!まだまだマゼランズのプロップスは紹介したいものがたくさんありますので、次回の記事にて続きを書こうと思います。

それでは!