こんにちは!
最近明らかにブログの更新頻度が上がっているつばさぬです。前回の記事も自分の想像以上の反響を頂きまして、大変嬉しい思いです。改めてありがとうございます!!🙇♂️
目次
さて、先日リハブ(休止期間)が終わりちょっとそたリニューアルがあったりと最近何かと話題のフォートレス・エクスプロレーションですが、当ブログではこのアトラクションのあるエリア『エクスプローラーズ・ランディング』がイベリア半島を舞台としているという話を度々してきました。
一応の理由としては大航海時代を舞台にしている要塞なので、それを担ったスペイン、ポルトガルが舞台になっているよねという前提のもとにたっています。tsubasan0924.hatenablog.com
しかし、公式の文献などを読んでみるとどうやらそうではないようなのです。
2006年に講談社さんから出版された『海の絵本』によれば、メディテレーニアンハーバー全体にこのような物語があるとされています。
16世紀初頭、この港は古代ローマ時代の遺跡周辺に築かれた、小さくひなびた漁村にすぎませんでした。ただ一つ、ほかと違っていたのは対岸に見える壮麗な要塞です。これはスペイン国王カルロス1世の避寒用施設として使われていた砦。そしてカルロス1世の統治期の終盤に、船乗りや科学者、技術者、芸術家のグループで構成される国際的な学会S.E.A.に譲渡され、世界中の探検家や冒険家たちが、この地へやってくるようになりました。この要塞に頻繁に足を運んだのが、港の裕福な地主、サンビーニ家の人々です。探検家ではありませんでしたが、S.E.A.の知識や業績に感銘を受け、今後の発展に寄与できるよう、高台に自分たちの別荘を建てました。その後、ホテルや店、レストラン、ワイナリーなどの事業を始め、300年以上にわたって、発展していきました。そして、近代的な世の中になっても、スペイン国王からS.E.A.に譲渡されたことから始まったこの歴史ある要塞に守られた港町の魅力を保っているのです。
(2006)『海の絵本』講談社 (P18)
引用文が長くなってしまいましたが、要はフォートレスを拠点に活動する組織S.E.A.とメディテレーニアンハーバーにあるレストラン『ザンビーニ・ブラザーズ・リストランテ』でおなじみのザンビーニ家には歴史的な繋がりがあり、位置関係としてもパークでの縮尺のままということになりますね。
『ザンビーニ』が位置するエリア『ポルトパラディーゾ』はイタリアのポルトフィーノやチンクエテッレがモデルになっていると言われており、実際レストラン内にあるカレンダーではイタリアのリグーリア州であることが明言されています。
これと先ほどのメディテレーニアンハーバーのストーリーから考えれば、エクスプローラーズ・ランディングはイタリアにあることになりますね。現にこのストーリーを基にして、エクスプローラーズ・ランディングもといフォートレスがイタリアにあると考えている人は多くいるようです。
それではフォートレスがあるのはイベリア半島ではなくイタリアなのでしょうか。
と、ここまで書いて勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、本記事はこのフォートレス=イタリア説が実際のところどうなのか考えていこうという内容です。
この記事で述べる内容は全て僕個人の見解であり、確定的な情報ではないことはあらかじめ断っておきます。
それではいってみましょう!
メディテレーニアンハーバーの地理関係
やはりまず気になるのはメディテレーニアンハーバーの各エリアの地理的な関係です。
というのもフォートレス=イタリア説の主な根拠として、イタリアをモチーフとしたポルトパラディーゾとエクスプローラーズ・ランディングが同じ空間にあるということが挙げられるからです。説明が難しいですが、要はパークで再現されている縮尺(距離感)がストーリー上でも適用されているという前提があるわけですね。
結論から言ってしまえば僕はそうではないと考えています。つまり実際にはポルトパラディーゾとエクスプローラーズ・ランディング間では明確な断絶があり、パーク内ではそれをデフォルメして繋がっているように見せているだけということです。
例えばお隣のアメリカンウォーターフロントはニューヨークとケープコッドという2つのエリアにわかれていますが、実際にはニューヨークとケープコッドの舞台となっているアメリカのニューイングランド州ではそれなりに距離があるはずです。
しかしパーク内ではハドソンリバーブリッジという橋1つで結ばれる程度の距離しか設けられていません。これがパークで表現されているデフォルメだと考えます。
では、どうしてメディテレーニアンハーバーにおいてもそれが適用されると言えるのでしょうか。僕はそれにはいくつかの根拠があると考えています。
エクスプローラーズ・ランディングの姿
エクスプローラーズ・ランディングもといフォートレスが描かれたものをパーク内ではいくつか見ることができます。それら描かれたものがメディテレーニアンハーバーの住人たちから見たフォートレスの姿、すなわちパークのデフォルメを介さないストーリー上の姿となるわけですね。
ちなみに現状確認できているものは4つあります。(他にも知ってるよという方いましたら是非教えてください...)
まずはエクスプローラーズ・ランディング内にあるものから、ここにあるレストラン『マゼランズ』の地球儀にその姿が描かれています。
こちらの絵はコンセプトアートとして描かれたものにそっくりなのですが、よ〜く見てみると細部が違うのがわかります。
続いてはフォートレスからは少し離れたショップ『リメンブランツェ』の絵。こちらは絵というか版画になっていますね。我々のよく知るフォートレスが描かれています。
さて、ここまでは特に問題ないのですが、少し気になるのは残りの2つです。それが『ホテルミラコスタ』のロビー周辺にある地図とアトラクション『ソアリン:ファンタスティック・フライト』の待機列にある絵画です。
これらの絵に描かれたエクスプローラーズ・ランディングはどちらもパーク内の姿とは違っており、明確にポルトパラディーゾとは切り離されているのがわかります。ミラコスタの地図に至っては『メディテレーニアンハーバー』と『エクスプローラーズ・ランディング』というエリア区分までされていますね。
ただ、こちらはエクスプローラーズ・ランディングとミステリアスアイランドが同一の場所として描かれているのが気になります。というのもミステリアスアイランドは南太平洋に浮かぶ孤島という世界観なので、パーク内でフォートレスのそばにあるのは、これもまたデフォルメが利いていると考えるからです。
ミラコスタの地図はさておき、ソアリンに描かれているものはメディテレーニアンハーバーの住人から見たエクスプローラーズ・ランディングの姿と言えるのではないでしょうか。真偽は定かでないにせよ、比較的できたばかりのソアリンでこう描かれている以上、イマジニアもこのようなフォートレスの姿を念頭に置いているのでしょうね。
港を守る要塞?
メディテレーニアンハーバーの地理的関係について考えたいことがもう一点あります。
それがエクスプローラーズ・ランディングがメディテレーニアンハーバーを守るための要塞として機能していたという話です。実際先ほど引用した『海の絵本』にもこのような記述があります。
もともとはメディテレーニアンハーバーの
入り口の守りを固めるため、
15世紀にスペイン政府が建設したもの。
(2006)『海の絵本』講談社 (P17)
要塞である以上何かを守っている、もしくは守っていたのは当然なのですが、果たしてそれがメディテレーニアンハーバーだったのかは疑問の余地があります。
エクスプローラーズ・ランディングには、外敵から防衛するためのキャノンすなわち大砲が置かれています。
問題はこの大砲が向いている向きです。下の写真を見てもらえればわかりますが明らかにポルトパラディーゾの建築群の方を向いていますよね。
仮にメディテレーニアンハーバーの地理がパークで再現されている縮尺のままだとすると、キャノンからポルトパラディーゾの建築までの距離は180mほど。(下記画像参考)
16世紀当時使われていたカルバリン砲やそれより小型のデミ・カルバリン砲の有効射程距離が400~500mだったらしいことを考えれば、フォートレスから発射された弾丸が向かいの建築へと当たるのはそう難しいことではありません。
もしフォートレスとポルトパラディーゾがそのままこの位置関係にあるのなら、フォートレスはポルトパラディーゾを守るどころか脅威になってしまいますよね。いずれにせよ現在も稼働している大砲が街の方を向いているのはおかしな話です。
以上のことを踏まえるとエクスプローラーズ・ランディングがハーバーを守る要塞であったとは考えにくく、やはりパークで再現されているものはデフォルメされていると考えた方がいいような気がします...!
フォートレス=イベリア半島説
エクスプローラーズ・ランディングの舞台がイタリアではないとするとどこなのでしょうか。
僕はやはりスペイン、ポルトガルのあるイベリア半島だと考えています。というのもエクスプローラーズ・ランディングことフォートレスにはスペインやポルトガルのエッセンスが多く含まれているからです。
使われている言語
まず注目していきたいのはエクスプローラーズ・ランディング内にある施設で使用されている言語です。メディテレーニアンハーバーにあるレストランやショップはその多くがイタリア語の名前を冠しています。(「思い出」意味する『リメンブランツェ』、「小さな市場」を意味する『ピッコロメルカート』など)
これに対してフォートレス内にあるレストラン『リフレスコス』はスペイン語であることが公式サイトにも明記されています。(下記画像)
他のレストラン、ショップの名前がイタリア語由来なのに対し、フォートレスにあるレストランをあえてスペイン語由来にしているのは、フォートレスがイベリア半島にあることを前提にしているからなのではないでしょうか。
フォートレス内で見られる文字資料は、ゲストを意識して書かれた英語や日本語の看板などを除けば、ラテン語で書かれているものが主となっています。中世から近世にかけてヨーロッパではラテン語が学問上の共通語となっていたので、これに関してはなんら不思議なことはないですね。
しかし以前ブログで書いたとおり、例えば『チェインバー・オブ・プラネット』の星図の月名はポルトガル語表記となっています。個人的にはこれもイベリア半島が舞台となっていることの裏付けだと思うのですがどうでしょうか...?
フォートレスの建築様式
そのエリアがどこの国のものなのかを知るためにはやはり建築様式や建物の特徴を見ることが大事ですよね。
ロストリバーデルタの神殿を見ればそれぞれがマヤやアステカ、インカのものであることがわかりますし、アラビアンコーストの建築を見ればそれがアラビアだけでなく中央アジアや北アフリカなどもモデルになっていることがわかります。
ではエクスプローラーズ・ランディングの建築はどの国のどの時代のものなのでしょうか。フォートレス自体がその名のとおり要塞なのでそれを特定するのは中々難しいですが、よくよく見ていくとその手掛かりになるものはしっかり残されているのです。
それがこの記事でも既に登場しているレストラン『マゼランズ』です。このレストランに関しては大航海時代にポルトガル全域で流行したとされるマヌエル様式の装飾がされていることが判明しています。(東京ディズニーリゾート公式ブログにも記載があります。)
マヌエル様式は大航海時代で繁栄したポルトガル王室がその富を象徴するために装飾したものとして知られており、王室の勅令によりポルトガル全土に広まったようです。
船や海に関するモチーフが取り入れられているのが特徴として挙げられます。マゼランズにはロープの結び目、海藻、貝などの装飾がなされていますね。特にアーチや柱などはマヌエル様式の代表建築であるジェロニモス修道院の回廊とかなり似ています。
マヌエル様式の装飾がなされているのはマゼランズだけではありません。この装飾は実は思いっきりフォートレスの正面にも施されています。それがフォートレス中心の金のドームの下の壁の装飾です。
正面の壁(下記画像)にはエクスプローラーズ・ランディングを拠点として活動している組織であるS.E.A.の紋章がありますが、その両脇には錨、鎖、海藻、そして天球儀などマヌエル様式の装飾が施されているのがわかりますね。
さらに言えばこの装飾全体がポルトガルにあるトマールのキリスト教修道院の装飾の一部とかなり似ていたりします。
マヌエル様式が当時絶頂を迎えていたポルトガルを象徴するものだと考えると、その装飾がされているフォートレスはやはりイベリア半島にある可能性が高そうですね。
追記(2023年10月5日)
と、ここまではポルトガルの建築様式を踏まえていることを述べてきましたが、実はエクスプローラーズ・ランディングの要塞全体の建築のモデルがスペインにあることが判明したので見ていきましょう。
そのモデルとはスペインのマンサナレス・エル・レアルという町にある15世紀頃のお城。ムデハル様式と呼ばれるキリスト教建築とイスラーム建築が融合したスペインやポルトガル特有の建築様式で建てられているとのことです。
以前僕がブログで述べたイスラームとフォートレスの関わりの裏どりになりそうですね。
2つの建築を比較してみると白っぽい石材と灰色の石材の使い分け方や、コーベルという壁の出っ張りを支えるための装飾の形、そして十字型の狭間(さま:矢などを射るための穴)の形がそっくりなのがわかると思います。特に十字の狭間に関してはほぼそっくりに再現されているといっていいでしょう。
(追記終わり)
青いタイル
フォートレスの中に入ると中庭のような空間がありますが、そこには噴水が設置されています。
この噴水は少しコワモテな海の仲間の装飾が特徴的ですが、ここで注目するのはそこではなくこの噴水の下の部分です。噴水の内側の下をよく見てみると青を基調としたタイルが敷き詰められているのがわかると思います。
ポルトガルやスペインでは「アズレージョ」と呼ばれるタイルが生産されてきたことで知られており、特にポルトガルでは至る所で青を基調としたタイルの装飾を見ることができるそうです。
確証はありませんが、もしかしたらこのタイルもここがイベリア半島であることを示しているのかもしれませんね。
小屋の存在
エクスプローラーズ・ランディングの要塞の前には明らかに要塞の建築とは違う謎の小屋がぽつんと建っています。
柱に木が使われていたり、石の大きさが統一されていなかったり、さらに天井には苔が無造作に生えていることからも明らかに異質なのがわかると思います。
ただ夜になると窓から明かりが漏れていることがわかるため、まだ誰かがこの場所を使っていることは間違いないようです。
この謎多き小屋なのですが、どうやら煙突の形状からスペインのカラタニャソルという場所にある家々がモデルになっているっぽいですね。これもフォートレスがイベリア半島にあることの根拠の一つになりそうです。
フォートレスのルネサンス号横にある謎の小屋の変な三角について調べました。案の定煙突ですがどんなに調べてもスペインのカラタニャソルという場所しか出てこなかった。この場所特有のものっぽい?ていうかめちゃくちゃ似てます。城壁に囲まれた城郭都市だそうです。なんか色々繋がりそう!#屍BGS pic.twitter.com/lXp1VaOIVp
— マウス・オブ・ザ・デッド👸 (@totomo_diamond) 2023年7月31日
カラタニャソルは中世に栄えた町だそうなので、それがモデルになっているならばこの小屋は要塞より古い時代のものなのでしょうね。
さらに詳しく調べていくと、どうやらこの煙突は松の木でできているもので寒い地域特有のものであるとのこと。
となるとエクスプローラーズ・ランディングも寒い地域にあることになりますが、そうすると1つ矛盾が生じてしまいます。
冒頭の『海の絵本』から引用した記述ではこの要塞は元々スペイン王カルロス1世の「避寒用施設」だったと書かれていましたよね。避寒とは当然寒い季節に暖かい地域へ行くことですから、わざわざ寒い場所を選ぶのはおかしい気がしますがどうなのでしょう...?
大航海時代の象徴
ここまで色々書いてきましたが結局のところ最初に述べたとおり、エクスプローラーズ・ランディングという施設が大航海時代をテーマにしている以上、やはりその時代を担ったスペイン、ポルトガルが舞台になっていると考えた方が良いのではないでしょうか。
と、これだけだとこの項は完全な妄想で終わってしまうのでそう考える理由を話していきます。エクスプローラーズ・ランディングの中にはアトラクションのガイドパンフレット的なものが置いてある場所がありますが、そこにはこう書いてあります。
この地から探検家たちは偉大なる発見を求めて航海へと旅立つ。そしてやがて帰還したのちには はるか遠い国の物語や驚くべき冒険の数々 またすばらしい科学の進歩を語り伝えるであろう。
ここに書いてあるとおり、そもそもこの場所はエクスプローラーズ・「ランディング」なので冒険家や探検家たちの航海の出発地であり、その航海を終えて上陸する場所でもあるのです。
なぜ大航海時代の先陣をきったのがスペインとポルトガルだったのか、それには様々な理由が挙げられますが、その1つにこの両国が内海である地中海だけでなく、外海である大西洋にも面していたことが挙げられるでしょう。そんな両国だからこそ、文字通り世界中を旅する航海の出発地、そして寄港地を担うことができたのです。
対してイタリアはルネサンス発祥の地であり、航海技術こそ発達したものの内海にしか面していないという地理的特徴もあり大航海時代を担うことはありませんでした。
このようなことを踏まえてもエクスプローラーズ・ランディングはイタリアではなく、スペイン、ポルトガルのあるイベリア半島にあると考えた方がしっくりくる気がします。
また、フォートレス中心の金のドームの上部には高らかに金色の帆船が掲げられています。なんとなくこの時代の船というとルネサンス号のようなガレオン船を連想してしまいますが、二本の三角帆があることからこれはキャラベル船であることがわかります。
このキャラベル船はポルトガルの国家管理のもとで開発され、ポルトガル、スペインの冒険家や探検家に広く使われたものとして知られています。
18世紀までイギリス、オランダ、ドイツといったヨーロッパ各国も使用したガレオン船でなく、キャラベル船が高らかに掲げられているのはスペイン、ポルトガルといったイベリア半島の両国の栄華を示しているからと考えられないでしょうか。
終わりに
ということでこの記事ではエクスプローラーズ・ランディングの舞台はイタリアではなくイベリア半島なのではないかという話をしました。
ちなみにスペイン、ポルトガルのどちらの国なのかまでは断定せず、イベリア半島であると表現しているのは、この記事でも見てきたように両国それぞれの要素が色濃くフォートレスには反映されているからです。
とはいえ冒頭で見たように、公式の文献ではエクスプローラーズ・ランディングがイタリアにあることを示すような記述がしっかりとされているので、あくまでもこれは僕の意見にすぎません。
そもそも場所が明確に断定されていないのは、ゲストがフォートレスをイタリアともイベリア半島とも感じ取っていいように想像の幅を持たせているということなのでしょう。
要はエクスプローラーズ・ランディングの舞台をどことするのかはある程度ゲストの解釈にゆだねているということですね。そのうえで僕はイベリア半島にありそうだなと解釈したと思ってもらってかまいません。
繰り返しになりますが、当ブログで述べている内容はすべて僕個人の見解によるものであり、確定的な情報を伝えるものではありません。その上でご意見やご感想などは大歓迎ですので是非よろしくお願いします!
以上長くなってしまいましたが、ここまで読んで下さりありがとうございました🙇♂️
それでは!
この記事を書くにあたって黒井哲也 (@961C62) / X様からの御協力をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます!